記事の Web 転載につきましては、事前に清水俊彦 Dr. に許可をいただいております。
どうして頭が痛くないのに、片頭痛と呼べるのでしょうか?
不思議に思われる方も多いと思いますが実はこのよような病名は欧米では、migraine witout headache (= migraine とは片頭痛の意味)と表記され、国際的にも立派に存在するのです。
この奇妙な病名を理解していただくためには、片頭痛とは一体どのような頭痛なのかということを簡単にお話しておく必要があります。
よく片頭痛は片側の頭が脈打つように痛い頭痛と理解されていますが、このような痛みのみでは片頭痛とは断言できないのです。
近年の研究により、片頭痛とは単なる頭の痛みではなく、痛みの水面下で大脳が興奮症状を起こしている頭痛であることがわかっているのです。
そしてその興奮症状は、まず大脳の番うしろにある後頭葉という眼球から視神経でつながっている人間のスクリーンの役割をする部位に始まり、時間とともにゆっくりと大脳の前方に向かって行くのですが、このスクリーンの部位の興奮症状があまりに強い際には、頭痛が起こる直前に
しかしこのような閃輝暗点をきたした直後に起こるはずの頭痛が起こらない、すなわち閃輝暗点のみで頭痛が起こらないこともあり、このような症状を総称して“頭痛のない片頭痛” と呼んでいるのです。
定説ではありませんが、若い時に閃輝暗点に続く酷い片頭痛に悩まされた経験のある高齢者の男性に多いとも言われています。
片頭痛の際には、大脳の大きな血管が異常に拡張し、血管の周囲にある三叉神経というセンサーを刺激して頭痛が引き起こされるのですが、歳をとると脳の血管が動脈硬化を起こして弾力性を失い、あまり広がらなくなり、三叉神経に触らなくなるため頭痛が起こらなくなる。
けれども、脳の中のスクリーンの興奮しやすい状能のみが、むなしく残るためではないかとも言われ ています。
歳をとっても大脳に余韻を残す片頭痛、侮れない病であることには間違いなさそうです。

清水 俊彦
日本脳神経外科学会認定医、日本頭痛学会監事を歴任。日本頭痛学会認定専門医。東京女子医科大学病院脳神経センター頭痛外来客員教授、獨協医科大学神経内科学講座臨床准教授、一般社団法人グリーフケアパートナー理事。
ほかに、汐留シティセンターセントラルクリニック、阿見第一クリニック、小山すぎの木クリニック、マミーズクリニック、伊豆大島医療センターの頭痛外来を担当。
昭和61年3月日本医科大学卒業。学会活動をはじめ、NHK「きょうの健康」「クローズアップ現代」など、テレビ出演も多い。『頭痛女子のトリセツ』(マガジンハウス)をはじめ、頭痛関連の著書多数。
日本脳神経外科学会認定医、日本頭痛学会監事を歴任。日本頭痛学会認定専門医。東京女子医科大学病院脳神経センター頭痛外来客員教授、獨協医科大学神経内科学講座臨床准教授、一般社団法人グリーフケアパートナー理事。
ほかに、汐留シティセンターセントラルクリニック、阿見第一クリニック、小山すぎの木クリニック、マミーズクリニック、伊豆大島医療センターの頭痛外来を担当。
昭和61年3月日本医科大学卒業。学会活動をはじめ、NHK「きょうの健康」「クローズアップ現代」など、テレビ出演も多い。『頭痛女子のトリセツ』(マガジンハウス)をはじめ、頭痛関連の著書多数。